豊洲市場の工事を施工したのはどこの建設会社(ゼネコン)なのか?

連日の報道では豊洲新市場の盛り土問題が報道されていますが、この盛り土問題から工事を受注した建設会社(ゼネコン)の落札状況などを見ていくと、発注者(東京都)と受注者(ゼネコン)の間には何か表には出てこないような話があるような気がするんですね。

ぼくは数年ですが業界にいた人間でもあるので、話題になっている豊洲市場の問題に関して業界にいた人間としての観点から感じることをまとめていきと思います。

 

豊洲市場の工事を施工した建設会社

豊洲新市場のメイン施設の施工会社と落札結果

豊洲新市場のメイン施設を建設したのはスーパーゼネコンと言われる大手3社(鹿島建設・大成建設・清水建設)ですが、すべての工事において単独での受注ではなく共同企業体(JV)として工事を受注しています(あくまで共同企業体の頭がこの3社で残りのスーパーゼネコンである大林組と竹中工務店の2社も共同企業体として施工に関わっています)。

ただ、この入札に関して各工事の入札状況を見てみると、それぞれの工事に対して1社ずつ(1つの共同企業体ずつ)しか入札をしていなくて、さらにその落札率が3つとも99%以上にもなることが明らかになっているんです。

 

通常であれば公共工事の入札においては複数の企業がそれぞれ入札金額を提示してその中で最もふさわしい(単純に安すぎてもダメで、最低落札価格以下で入札を入れてしまうとその時点で選考から外されたり、低入札工事として検査などが厳しくなります)ものが選ばれます。これによって、発注者はある程度発注額を抑えることができますし、企業間での競争が生まれて技術力の向上とより質の高い建設工事がなされるようになるんですね。

 

ただ、豊洲新市場の工事の入札においてはそれぞれ1社(1JV)ずつしか入札をしていないので、この競争原理が働かず、かつ、かなり高い落札率で落札されていることから、談合などの疑いもかけられているんです。

 

kensuke
工事の難易度や現場状況などにもよりますが、一般的には90%以上の落札率の場合には談合の疑いが高いと言われています。

 

豊洲新市場のメイン施設の施工会社と落札率

  • 青果棟(落札率99.96%)
    鹿島建設・西松建設・東急建設・TSUCHIYA・岩田地崎建設・京急建設・新日本建設(7社JV)
  • 水産仲卸売場棟(落札率99.86%)
    清水建設・大林組・戸田建設・鴻池組・東急建設・銭高組・東洋建設(7社JV)
  • 水産卸売場棟(落札率99.79%)
    大成建設・竹中工務店・熊谷組・大日本土木・名工建設・株木建設・長田組土木(7社JV)

 

豊洲新市場5棟の土壌汚染対策工事の施工会社と落札結果

実は豊洲市場のメイン施設工事もそうですがこの工事以前に建設前の土壌汚染を改良するための工事が発注されていて、こちらの工事もまたメイン施設工事を受注したのと同じゼネコンが頭となった共同企業体(土壌汚染対策工事とメイン施設の建設工事とで共同企業体の中身は違いますが)がかなり高い落札率で受注をしています。

 

豊洲新市場の土壌汚染対策工事の施工会社と落札率

  • 青果棟(落札率93.9%)
    鹿島建設ほか(6社JV)
  • 水産仲卸売場棟(落札率97.0%)
    清水建設ほか(10社JV)
  • 水産卸売場棟(落札率94.7%)
    大成建設ほか(5社JV)

 

kensuke
確かに現場サイドとしては、土壌汚染対策工事を請け負った会社がメイン施設工事も受注した方が現場の状況も分かっているし工事自体は進めやすいとは思いますが、連続する工事の落札率がここまで高いとなると、「それぞれのゼネコンにお金を流すために発注しているのでは?」と疑われても仕方がないことですね……

 

入札不調は調整のため?

豊洲新市場のメイン施設建設工事にあたっては実は2013年11月に発注されましたが、一度入札不調として流れています。このときの発注金額は合計でおよそ628億円。そのあとに、発注者がヒアリングを行い金額を調整して、2014年2月に再発注されようやく受注者が決まりました。このときの金額が合計で1035億円なのですが、そもそも何でこんなにも上がっているのかってことですよね。

628億円からだとおよそ65%の上乗せ、そもそも発注者の設計担当はそんな見当違いな計算をして工事を発注していたの?っていうか1年に使う予算って決まっているんだから、どこから400億円もの予算を絞り出したの?

っていう疑問が出てきます。

こうなってくると、初めから高い予算で工事を発注して高落札率で受注されるとそれを突かれたときに面倒だから「一度低い金額で発注して流れたことで、ゼネコン側にヒアリングした結果この金額、この落札率になりましたよ。」って言い訳を作るための入札不調な気がしてなりません……

 

 

盛り土について

豊洲新市場においては当初設計では現地の汚染された土壌を2.0m掘り出し、そこに4.5mの綺麗な土を盛るとされていて、現地での土壌汚染を改善するために盛り土をする予定でした。それに対しては「豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」で盛り土は完了しているとも公言されています。ただ、実際にはその盛り土の施工はなく空洞ができているといった報道が今のところはされていますね。

 

これに関して元業界の人間として思うのは、そもそもなぜそれで検査が通ったのか?ということです。建設工事では通常工事が完了した際には必ず発注者(東京都発注の工事であれば東京都の検査員)が現地の確認と書類の検査を行いしっかりと確認を行ってから工事が完了したと確認されて初めて竣工します(これが完了しないと受注者もお金を受け取れません)。

この工事が完了して次の工事(豊洲新市場のメイン施設工事)が発注されているということは、完全に土壌汚染対策工事の検査は都の職員が検査してそれに通っているということですよね。ということは、都の職員はこの現状(盛り土がされていないということ)は知っていたということになるんです。

 

ゼネコン側からの提案によって盛り土が取りやめになったのか?

ここでひとつ盛り土がなくなった理由として考えられるのは、ゼネコンからの提案によって盛り土とは違う他の施工方法に変更になったのではないかということです。これは設計変更と言って、受注者は現地の状況に合わせてより効果の高い施工方法や施工が難しい場合には代替案を提案し、それを発注者に申請して承認されればそちらでの施工ができるというもの。

 

例えば、受注したゼネコン側が「盛り土よりもコンクリートなどで表面を覆ってしまった方が効果が高いのでそちらでの施工に変更できないか?」といった案を提示してそれを発注者が承認しているのであれば、盛り土がなくなって施工が行われたのは頷くことができます。

 

現にあるゼネコン側の意見として、

盛り土をせずとも法律で決められたコンクリートを使っているから安全性の問題はない。

と言うものも出てきてはいるので、こうした設計変更がなされて盛り土がなくなったという可能性もないとは言えないですね。

 

設計変更がされたとしたらなぜゼネコンに責任を追及しないのか

設計変更の話については現状確認が取れていないので憶測に過ぎないですが、ただ、ゼネコンからの提案で設計変更をしたのであれば、発注者はゼネコン側に責任追及をするのではないかと思うんですよね。そうしないのはこの盛り土の問題を発注者が自ら指示したことであるか、もしくは、発注者と受注者の間でそのようなことが言えない間柄にあるということなのか……ということです。

 

特に東京都は2020年のオリンピックに向けて、競技のための施設やインフラを整備していくためには豊洲新市場の工事を受注したような大手ゼネコンは絶対に欠かすことができない存在になるわけです。ここでゼネコン側に責任を押し付けてしまっては、発注者と受注者の信頼関係も損なわれてしまいますし、何より「もう東京都の工事は受注しない」なんてそっぽを向かれてしまっては困るわけです。

 

ゼネコン側の盛り土の隠蔽は可能だったのか?

先日メディアに出ていた専門家の方が「構造物の下は見えない部分なので、盛り土がわからないように隠蔽した粗悪工事だ」なんてことを言っていましたが、見えない部分であってもこれだけ大きなものとなると隠蔽することは無理に近いです。

なぜなら、こうした土の中に埋まってしまったり、後々表面上は見えなくなってしまう部分に関しては施工を進めていくにあたって、その部分が完了しているのか「中間検査」を受けたり、「写真撮影によって証拠を残す」ことをして、それを発注者に確認してもらってから次のステップに進むからです。

つまり、これだけ大きなものとなるとその部分に関して発注者がわからないように隠蔽することもできないですし、そもそも豊洲新市場の場合には構造物の施工が完了しても地下にメディアのカメラが入っていっているので(動画参照)、盛り土が完了しているのかどうかは後からでも確認することができるわけですからね。

 

 

ということで、盛り土に関しては発注者は知っていたことになり、これが工期短縮のためなのか他に理由があったのか……

今後の発注者からの発表次第ということになりそうです。

 

 

あとがき

豊洲新市場の移転に関しては、土壌汚染の問題が解決しないとなかなか先には進まないかもしれません。何しろ発がん性のあるベンゼンなどの有害物質で汚染された水が2,000トンも地下にあるわけですからね、食品を扱う場所としては大問題です。

ただ、犯人探しに時間を割くのもいいですが、それよりもなるべく早く移転するためにはどうすればいいのかの解決策を先に探して対応して欲しいですね。そうでないと東京オリンピックに向けてますます人手が足りなくなる業界の首を絞めてしまうことになりますから。

 

これだけ高い落札率で落とされた土壌汚染対策費(858億円)がどこの懐に入ったのか……

都に税金を納めている東京都の人にとっては憤慨する問題ですね……

 

 

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